2017年11月08日
11月8日(水)やっと秋らしい天気がやって来た。ようやく洋服の整理が出来そうだ。なにしろこんな不順な天候の年は無かったので。
やはり、期待通り?いや期待しないようにして、
映画『ブレードランナー2049』を観た。
朝一の回の上映にも拘らずそこそこ席は埋まっていた。
前作から30年経った世界はもっと状況・環境が悪くなっていた。
だが依然としてレプリカント(アンドロイド)は製造され、
より高機能になっていた。
そして反乱分子の旧型レプリカントを抹殺処理するブレードランナー。
ロス市警の刑事 K(ライアン・ごズリング)が主役。
その存在も変わらなく在った。(より高機能のアンドロイドだ)
旧型のレプリカントを追って行くと、
2019年に女性レプリカントと失踪したデッカード(ハリソン・フォード)元刑事に行きつく。
彼と会った時、突然外部から攻撃を受ける。
大きな秘密を抱えて、隠れるように住んでいたデッカードとともに逃亡。
やがて真相を知ったKは
降りしきる雪のなか天を仰いで
心底の、無限の孤独に浸されていく・・・。
この作品、本家アメリカでは興行成績が芳しくなかったようだ。
とにかく2時間45分の上映時間は長かったかもしれない。
私はそうは思わないが、ジェットコースター展開のドラマではない。
ストーリーが分かりにくい。
丁寧にじっくりと作り込んだ未来風景の、
ビジュアル・ランドスケープがこの上なく美しいのだ。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(『ボーダー・ライン』『メッセージ』)は、
細部にこだわるC・Gを極力避け、実物大のセットを組む。
ワンシーン・ワンシーンが映画美術のAランク以上。
SF映画はやっぱり未知の『画』との遭遇が楽しみの一つ。
前作の猥雑感(それはそれで良い)が薄れた。
そのかわり映像全体がシャープで拡張された感じがある。
前作の大きなテーマであった「人間よりアンドロイドの方が人間的だ」。
『2049』ではやはり主人公のKは自分の存在はなんだろうと茫然自失。
ヴィルヌーヴ監督は人間と言う危うい存在をアンドロイド側から逆照射。
このテーマは極めて哲学的で深すぎるのだ。
監督の前作『メッセージ』では異星人の難解な言語を読み説く女性言語学者。
彼女の人生の物語を読み解く。
大きな物語から個人の存在へズームインするストーリー。
監督は常に人間存在という不確かな存在を探っている。
私はSFもSF映画も大好きである。
不可思議な事、未知のこと未来のこと等など・・・。
上質なSF文学、映画は食事抜きでもいいと思っている。
近ごろA・Iがチェス、将棋、囲碁に勝っているようだ。
超高速で色々な盤面を学習して長足の進歩。
人類危うし!でもそんなことは無いようだ。今のところ。
遠い未来のことは分からないが。(電源を抜け!)
映画『ターミネーター』的かもしれないが・・・。
余談だが、ほとんどのSF映画で未来は車が宙を飛んでいる。
そんな時代まで生きていられるのやら・・・。
それにしてもあの名作『鉄腕アトム』はロボットで在ることの、
人間では理解できない『孤独』に悩む姿があった。
やはり名作と言われるゆえんだろう。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、次回は『砂の惑星』を撮る予定とか。
期待しないで観に行こうか。