2016年03月03日
3月3日(木)今朝は朝から穏やかな春日。春風駘蕩(しゅんぷう、たいとう)のどかな一日でした。気がつけばもう弥生三月。桃の節句、陽も長くなり待望の春はすぐそこに来たようだ。

何とか生き長らえているといい事がある
教師をやっていたから・・・。
先週はふた組のTOHO・OB会に連夜参加。
放送芸術科が教場を転々としていた頃、
新宿ヒルトンホテルの別館で学んだクラス生。
学生数もその頃はとても多く手狭になり、
引っ越しを繰り返していた頃だった。
30年前、当時アメリカの大学と提携していて、
交渉事でサンフランシスコに出張帰り、
開講日に間に合い担当クラスにあいさつに行った。
教室のドアを開くと何か妙な雰囲気なのだ。
シーンとし過ぎている、不気味だ。
生徒たちは顔はもちろん、身体も一ミリも動かさない。
ただただ私を見つめている、息をつめて!
この時が彼ら「いつものA組」とのご縁だった。
後になって当時副担任だった谷先生(今は校長先生)に聞くと、
「彼らに君たちの担任は物凄く怖い人だ」と吹き込んだようだ。(笑い)
それでも初期の刷り込みが利いて私の講義は静かに聞いていた。
が、一年後の2月3日(私の誕生日)に教室で私は節分の豆をまかれた。
それ以来、クラスの一部の生徒たちは卒業してからも、
折に触れミニクラス会に呼んでいただいている。

今回は折悪しく3人だけの集まりになってしまったが、
それはそれで話が親密にできて面白かった。
もうすぐ50歳になろうとする面々。
仕事やいろいろご苦労の多い年代と察するだけに、
割とリアルな話題になるのは仕方がない。
自分のその時とは比べようもないが、
ただただガンバレと祈るだけかも。
とにかく2年ぶりの再会、楽しかった。感謝します。

続いて二夜目はまだ学校が無認可時代。(学校法人ではなく)
三期生。ようやく生徒が増えて学校らしくなっていった頃。
西新宿のビルの一隅に通ってきた生徒たち。
あれから40年経ってしまった。(私にはつい先日のように思える)
学生定期が無く苦労した話題から始まり、
当時の学生生活の記憶に残るエピソードを確認。
各自の思い出を酒杯を重ねるように語る。
還暦過ぎの面々とこうして再会できて懐かしさを通り越して、
なんだか自分の胸にことばにならない気持ちが満ちてきた。
この会はTOHO会会長の小河原さんのお誘い。
「30年ぶりにフランスから帰ってきた熊田さんや油谷監督が来る」
親子二代のTOHO生・滝沢さんやまだ業界で頑張っているOBたち。
「そうか!ここの皆還暦過ぎなんだ」

これからは自分が納得する作品だけを撮りたいと油谷さん。
今、演劇の演出を楽しんでいますと小宮山さん。
T・Kだけを目指して今やその会社をやっている鈴木さん。
30年ぶりにフランスから帰国した熊田さん。
当時彼女のアルバイト先を訪ねて「おにぎり」を食べたことが
嬉しくって、今も昨日のように思い出します!
「当時、いろいろ悩み事で鬱々としていたときだけに来ていただいて感激しました」
それぞれ自分の人生を何とか生き抜いて今夜のご縁がこうして新たに生まれた。
楽しいひと時はお開きになり、わたしは一次会で失礼した。

家に帰り油谷誠至監督のTV演出作品『鴨川食堂』を観た。
BS深夜帯なので録画を再生。
毎回、何か懐かしい思い出の食べ物を作ってくれるという噂の食堂。
しみじみと、依頼人のおいしかったあの食べ物が記憶とともに描かれる。
店主と娘はその再現を過去にさかのぼって、探る・創るそんな変わった食堂。
演出はゆったりとしたタッチでしみじみと見せる。
油谷さん、イイ仕事しましたね。(先週最終回)
面白く心に残る作品をお願いします!

日曜日、上野の東京博物館に行った。
梅が満開。ほのかな香りがまた良し。
兵馬俑展も終わりやや静けさが戻ったようだ。
国宝、重文さまざまな歴史を経た作品。
文化の連なりをゆったり見るのは気分が良い。

・・・過去があるから今がある。
いい思い出、悪いことなどさまざまな事が、
年を重ねるたび地層のように重なっていく。
今日は昨日と違う、明日もそうなるのか。
些細なことを決めたり、決められたり、決められなかったり。
自分だけで生きているのではないから、
さまざまな事と出会い、分かれていく。
数多くの生徒たちと出会い別れ。
そしてまた出会った。
教職で良かったとつくづく思う。
そんなご縁をこれからも大切にしようと改めて感じた・・・。
もうすぐTOHOも卒業式を迎えるようだ。
