2016年02月24日
2月24日(水)今日は朝から真冬の様な寒さ。おまけに風も身を切るように冷たい。もうすぐ3月の声を聴くと云うのに、この頃のお天気はクルクル変わるようだ。
こう寒いと私もそうだが家の犬も、
散歩の途中で「もう帰ろうよ!」なのだ。
短毛種ゆえ暑さ寒さに極端に弱い。
まして年をとってから自分の意思をはっきり主張するようになった。
先日、居間でボンヤリ新聞を読んでいたら、
窓のカーテンにハエがとまっていた。
「冬の蠅」 か・・・。
学生時代に良く読んだ梶井基次郎の小説 『冬の蠅』 を思い出す。
昭和の初期、重度の結核を患っていた主人公の話。
温暖な場所で治療のため長逗留している主人公が、
座敷障子に止まっている冬の蠅にわが身の病鬱と倦怠感を重ねる。
当時結核は死の病と言われており、ジッとして動けない自分。
同じように日光浴をしながら活動しないハエをダブルイメージしていく。
終いには健康のシンボル、太陽光さえ憎んでしまう。
そして蠅は居なくなり、主人公には返って暗い生への情熱が・・・。
名作 『檸檬(レモン)』 の作者の作家としての冷徹な眼差しがここにもある。
鬱屈とした自分の魂を本屋に檸檬を爆弾にイメージして置いて去る。
彷徨える自分の想像上の開放感はどれほど凄いか!
そして梶井基次郎全集を揃えるために、
2か月アルバイトに励んだ。(古本だったがとても高かった)
青春期の鬱々とした気分を癒してくれた作品だ。
わたしは彼の無駄なく、透明度の高い文体が好きだ。
そんな訳で彼の本はいまでも机の周辺に存在している。
話は少し変わるが、
北欧ミステリー 『ミレニアム 4』 の紹介をしたばかりだが、
もう一人、スウェーデンの作家ヘニング・マンケル氏が亡くなっていた。
どうりでここ2〜3年新訳がでないはずだ。
今回は刑事ヴァランダーのその娘が刑事になり事件を解決すると云う。
このシリーズ初めから邦訳された作品は読んでいた。(創元推理文庫)
スウェーデンの田舎町イースタ署の中年刑事が主人公。
離婚され、娘にも好かれていないサエない中年男だ。
いみじくも邦訳者の柳沢由実子氏が、
日本の中年読者が多いのは。
藤沢周平氏の時代小説を読む層に支持されたのではと言っている。
確かに一理ある気がするが、あの福祉国家が、
グローバル化していく中で今までにない問題を抱え込んでしまい、
事件が複雑怪奇なものになって解決しても割り切れない感情が残ってしまう。
移民、なんみん、ネオ・ナチズム問題・・・(今や世界共通問題?)
シリーズの中でも、
『殺人者の顔』 『目くらましの道』 『タンゴステップ』 が好かった。
10何年にわたって興味深く読ませて頂いたヘニング・マンケル氏に感謝。
そして合掌・・・。
いま日本ミステリーで旬なのは米澤穂信氏。
先週 『王とサーカス』 を読み終えた。
ネパールという異邦で国王が殺される事件に遭遇する主人公。
・・・街の描写、報道する側とされる側の乖離は非情だ。
事件は全く違う方向に進展していく・・・。(面白かった)
寒い日々はミステリーを読んで過ごすのが一番かな。
先週のブログ浅川マキさんの写真余りにもぼやけていたので、
撮り直しました。
そして久しぶりに 『裏窓』 を聴く。
作詞 寺山修司
♪裏窓からは 夕陽が見える
洗濯干場の梯子が見える
裏窓からは
より添っている ふたりが見える
裏窓からは 川がみえる
暗いはしけの音が聞こえる
裏窓からは
ときどきひとの 別れがみえる
・・・・・・・・
今夜は30年前のOB達とのあつまりがある。
久しぶりなので皆さんと会うのが楽しみだ!