2015年07月22日
7月22日(水)東京地方は梅雨が早めに明けた。エルニーニョ。早めの台風の発生で全国的に水害が起きている、アメリカ西海岸では干ばつで山火事被害。今年も異常気象なのだ。

先週金曜日、有楽町に出かけた
『チャイルド 44 森に消えた子供たち』を観に、
台風の余波が残る日比谷の街。
前を歩く女性の傘がオチョコになるほどの突風、ビル風。
目指すは「みゆき座」。実に久しぶり。
この映画、都内ではほとんど上映館が少なく単館と同じ。
何時もは近くのシネコンでOKなのだが、
内容が地味?なせいなのかと思った。

原作はイギリスのミステリー。(日本でも評価が高い)
あの巨匠リドリー・スコットがプロデュース。
監督はスウェーデンの若手監督、ダニエル・エスピノーサだ。
1950年初頭、ソ連はスターリン体制で独裁国家。
保安省の捜査官がたまたま友人の息子の変死に疑問を持つ。
当時、理想国家としてのソ連に殺人事件。ありえないと捜査を阻止される。
スパイ容疑の妻をかばい、主人公は地方都市に左遷。
しかしその地でも連続して子供たちが殺害される。
荒涼たる地方都市の風景、戦後間もないモスクワの荒れた有様。
映像は地味だが的確に矛盾に満ちた独裁体制を彫り込んでいく。
この監督、若い割には緻密な描写と、カッティングが巧みだ。
主人公は徐々にシリアルキラーを追い詰めていくのだが。
新たな敵がまた現れてクライマックスへ・・・。

数年前この原作の続編『グラーグ57』トム・ロブ・スミス著(新潮社文庫)も
夢中になり読んだ記憶が甦って来た。
その訳は、目の前に起こりつつある困難を知力と体力で乗り越える。
主人公の生き抜く意欲と優しさに快い感動を覚えたのだ。
スマートな書斎派の探偵が好きではないからかもしれない・・・・。

夕方最寄りの駅に降りると、
駅前で共産党のビラ配りの人たちがいた。
共産主義独裁のスターリン体制の映画を観た帰りの偶然。
その党の機関誌を配る人たちの年齢も高い。
一人の年配の党員?が「国会質問のDVD無料で配っています!」と、
DVDをもろ手にかざして訴えていたのが印象的だった。

心情左派としてはこの季節。
学生時代に読んだ、原 民喜 著『夏の花』が浮かぶ。
広島の原爆のその後を描いた美しい文章だ。
元題名は「原子爆弾」を改題したもの。
8月の広島の夏空に突然咲いた理不尽で凶悪な花。
何時もこの季節になると何故か呪文のように
「ナツノハナ・・・」とつぶやいてしまう。
今年もあの悪夢の記念日がもうすぐやってくる。
世界の負の遺産を絶対忘れてはならないのだ。
今日も季節は巡り、路地には名も無い夏の花が咲く・・・。
