2015年06月11日
6月11日(木)東京も梅雨入り。今朝は晴れていますが夜は雨の予報、やはり湿度が高めです。来月の下旬まで続くとのこと、OBの皆さんも体調を崩さぬようにお元気でお過ごしください。
先月末、例年のお声がかかる映画専門学校の講義がありました。
教場は新たに音響の校舎になった清水橋校。
新一年生にタルコフスキー監督の
『ノスタルジア』1983年(ロシア・イタリア合作)を鑑賞。
一昨年と同じ作品だが、講義内容は監督の技法に焦点を当ててみた。
いわゆる「長回し」ワンカットでそのシーンをカメラを止めずに永く見せる方法だ。
永く永く異常と思えるほどの時間の長回し。
対象の注視→そして凝視が喚起するその本質へと、
見慣れた日常から何か不思議な違和感。
(手あかのついた言葉や約束事から解き放たれた映像)
私はタルコフスキーが大好きだ!
(映画美のためなら何でもする)
30年ぐらい前に「日本タルコフスキー協会」なる団体に入っていたほどだ。
誰かがタルコフスキーの映画は、
必ず寝てしまうシーンがあると言っていた。
自分もこの作品では主人公が、祈りのローソクの火を消さぬよう
慎重にゆっくりとゆっくりと歩くシーンだ。
ここでは主人公の呼吸と、見る者のリズムがシンクロして、
ある種の緊張感の持続に堪えられなくなり寝てしまうのだ・・・。
彼の作品は「スリリングに眠い」のだ。
学生の中にも、彼の作品を見ていたものが何名かいるようで嬉しい限りだ。
まるで中世の宗教画を見るように、
この映画の映像はとにかく緻密に美しい。
無意識・夢・長回し・・・。
学生さんたちに、こちらの思いが伝わればと思った。
6月末から昨日までは所属している協会の総会やパーティが続いた。
懐かしいOBがたにお会いすることができた。
とりわけ放芸1期生(そのころは映像デザイン科だった)の斎藤行成さん。
40年前の伝説的OB、現在もこの業界で活躍中なのだ。
藤浪しのぶ さんは同じく放芸・塩浜先生クラス。
久しぶりにお会いしたが、
学生時代も存在感のあった彼女、今は業界で営業部長とか。
よりパワーアップされた感じ。
毎年のように懇親会やパーティに出席させていただいているが、
このところメンバーがより若手の方にシフトしているようだ。
世代交代が緩やかに進んでいる。
その中でもTOHOのOBが頑張ってこれからの業界を支えてほしい。
とにかく中身がたくさん詰まった2週間だった。
「忙中閑あり」で、
カズオ・イシグロ 著 新刊『忘れられた巨人』を読み始めた。
毎作違うスタイルの小説は嬉しい。
今度の作品は、アーサー王伝説後のイングランドが舞台。
老夫婦が息子のもとへ苦難の旅するファンタジィ。
ぞくぞくするほど面白い内容。巧みな語り口・・・。
もうすぐ読み終わる予定だ。
早読みするのが何故か勿体ない気がするのだ。
読後感想はまたの機会に…。