2015年04月22日
4月22日(水)今年は何回も春の嵐が吹きすさんで、今日あたりから、ようやく本格的な春の訪れ。いやというほどの雨と風。そして寒さもあって本当に不安定な4月でした。

先週末、東京・六本木の国立新美術館に行く。
3月末からの「マグリット展」を観る。
何せ13年振りの大回顧展とあって賑わいもひとしお。
ルネ・マグリット(1898〜1967)ベルギーの国民的画家。
展示は彼の活動を4期に区分してわかりやすい展示だ。
1920年代はシュルレアリスム、とくにG・キリコの影響が大きい。
30年代に入ると現実にはありえない不思議な情景で、
日常に潜む白昼夢の様な光景を描写、
独自の世界観を獲得する。

私は今回のポスターにもなっている『ゴルコンダ』(1953年)も好きだ。
黒いコートの神士が
青空をバックにした建物の周りに
無数に浮遊している無重力・無時間の様な絵だ。
不気味・不可思議〜ユーモラス。
見方を変えれば先の戦争で降ってきた焼夷弾の無数の雨粒・・・。

ある日あるときの日常Aを切り取って、
全く違う空間Bにおいてみると
そこに異化作用が起きて視る者が眩暈のような気分になる。
シュルレアリスムの代表的な転位・置換(ディペイズマン)手法だ。
暖炉から突然の様に煙を吐いた機関車が出現!
アッと驚くような組み合わせ、まさかの光景。
それが彼の絵ならではの構成と描写力なのだ。
一瞬の夢、無限の未知の空間に迷い込ませる。

私たちはいつも見慣れている日常の光景にかこまれている。
それが視点や対象物をずらしたり変えたりすることで、
マグリットの絵画空間が現出するのだ。
マグリット大好きの私は前回の展覧会で
『光の帝国』1954年を買い、
そのポスターを玄関に飾っている。
前面の建物周辺は夜部屋には明かりが付いていて街灯も灯っている。
しかし背景の青空は昼間。
今度は時間の転位なのだ。
同じ絵画空間に異時間が併存している。
はじめて視た時にはそれほど違和感が無かった。
それは何故だろうか?
おそらくずーっと以前にそれに近い光景を見たせいなのか。
例えば秋の夕刻早くも灯がともっているのに、
まだ残照があって、秋空が一瞬青いまま・・・。
ほんの数分の、数秒の逢魔が刻に似ているかも。

この『光の帝国』は晩年までマグリットのテーマだったらしい。
7枚位この絵画のバリエーションがあるようだ。
今回は『ゴルコンダ』のポスターを購入。
何処に飾ろうかと悩んでいるのだ。
こんな悩みなら、いつでもやってこいと思う!
OBの皆さんもお忙しいなか何か固有の楽しみをお持ちでしょう。
それらが現在やこれからの生活を楽しくやれる一つの縁(よすが)になれば、
内面も豊かになって行くかも知れませんね・・・。
