2015年02月18日
2月18日(水)東京、昨日は朝のうち雪が舞い、予報では今日は午後からまた雪模様
先週末、朝から寒く用事も無いので
読みかけのミステリーのページをくくる。
『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン著 創元推理文庫
もうとっくに引退した87歳の元刑事が、
ナチの金を巡って現役さながらの大活躍。
「ある日、第二次世界大戦の戦友が亡くなる際に、
ナチのSS将校が金塊を隠し、逃亡してまだ存命だ。
彼とお宝を探してと息を引き取るのだが、
それからは元刑事の周りでは殺人事件が多発・・・」
主人公は頑固、意固地、元気印の痛烈な皮肉屋。
ユダヤ人の元刑事のキャラクターには
なぜか共感できる。
男は何時だって「強く、たくましく、優しく」に
酔いしれたい幻想を抱く。
原題 DON'T EVER GET OLD.
そりゃあそうだ。
高齢になれば誰だって年はとりたくない。
当たり前だけど身につまされるタイトル。
本編は翻訳も良く、
元刑事の尖ってはいるが
年季の入ったセリフの妙が
小気味よく読ませてくれる。
一気に200ページほど読み進んだ・・・。
午後になりワンコと河原に。
土手の下はもう春めいて菜の花の黄色が鮮やか。
風の中、浚渫船が夜っくりと川底の泥をすくっている。
眼のせいか、サングラスをしていても河面の逆光が眩しい。
時間がフリーズしたような午後の一瞬。
「もう、2月も半ばを過ぎてしまったのだ・・・」
今なおこの地地球のどこかで戦争で死者が出ている。
マスコミの報道でしか実際知らない事実。
その悲劇の断片しか知らされない。
事実の断片をいくら繋ぎ合せても真実にはならない。
記憶に残るのはわずかだ。
そしてそれらはいずれ風化していくのか。
終戦直後の東京は、まだ復興遅れた所には
例えば質屋の蔵が焦げ残り、
少し地面を掘ると焼夷弾で焼けたガラスが
ビー玉のように溶けてまるくなっていた。
あれから70年余りの時間が経った。
戦争をしない国の誇りが危うくなっている?
『午後の曳航』・・・!
三島由紀夫の小説が浮かんできた。
雲の流れ、川の流れ、そして時も流れ去っていく。
春まだ浅き河原に佇み少しセンチメンタルになっていた。