2014年09月10日
9月10日(水)ようやく秋になったようだ。昨晩は文字通りの中秋の名月。庭の虫の音が月明かりのなかで涼やかに集いていた。
先週、「四谷怪談」を下敷きにした
映画 『喰い女 クイメ』を観た
えらく恐ろしく怖い映画だった
鶴屋南北の「東海道四谷怪談」
かつて新東宝・中川信夫監督の作品が忘れられない。
歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の
スピンオフ挿話だが、
中川作品は歌舞伎の様式性を
巧みに取り込んで
江戸の風俗やローアングル、
直角移動ショットなど
それまでの怪談映画にはない
モダニズムで表現をしている。
主人公の伊右衛門の酷薄さと
お岩さんの妄念・情念が、
どんな場面・シーンでもクールに
クールにおさえて、のめり込まない。
その血みどろなドラマの展開を
例えば、
今まで何ともなかった河原の風景が
突然幕が落ちるように
真っ赤な血の色の画面に転換するなど・・・。
様式美に昇華させた見事な作品だ。
『喰い女』は「四谷怪談」として
舞台上演される予定。
その稽古場には様式化されたセット。
連日真剣な稽古が展開。
お岩役の主人公(柴咲コウ)は
伊右衛門役(市川海老蔵)を
懸命に愛しているが、彼は浮気者だ。
そのうち彼は若い役者とデキテしまう。
本番に向けて舞台稽古が進むなか
主人公は彼の裏切りを知る。
「四谷怪談」のストーリーとシンクロしていく・・・。
思わず目をそむけたくなるようなシーンの連続。
彼女の狂気・錯乱がすさましい勢いで爆発していく。
・・・(R-12)指定は良く解る
三池崇史監督の真骨頂・ホラーなのだ。
でも、これでもかこれでもかと
攻める画面ばかりなので、
息を継がせるシーンがもっとあっても良いのかと。
落ちっぱなしのジェットコースターは良くない。
序破急、チェンジオブペース。
剛速球の連投は見ている方が疲れる。
もう充分に怖いのだから・・・。
館内は10名足らずの客。
画面を見ず、
無心にポッププコーンを食べている若者。
前列の席ではケータイの明かりが
ついたり消えたり。
妙な館内風景。
秋風がスーッと吹き抜けて行った気がした・・・(恐!)