2014年05月01日
4月30日(水) 今日は朝から雨模様、これから本格的に降るとの予報、折から花々は色鮮やかさを増して咲き誇っている、良い季節になった。

今朝、何げなく本棚を覗くと、
片隅に、
『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』
あの、JAZZとミステリー評論の巨匠の一冊。
植草甚一(1972年 晶文社)の本が目に入った。
すっかり忘れていた記憶が甦る。
ちょうどその頃から、
ハードボイルド小説を読め始めた。
「固ゆで卵」
味もそっけもない主人公の探偵の世界観。
自分に関わりのない事や人物には、
多額の謝礼にも関心が無い。
自分自身のやり方を貫きたいのだ。
カッコいい、クールな生き方に、
共感を覚える。
実際、自分の人生とはおそらく正反対。
なんとなく、ずるずると、
折り合いをつけて生きている。
だからこそ、探偵のきざなセリフが、
一服の清涼剤の様に効いてくる。
『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー原作。
最近、NHKで連続ドラマ化。
舞台は戦後間もない日本。
美術に相当気を使っている、
建物、衣装、自動車。
自分には、懐かしい光景の様な気がする。
あのフィリップ・マーロウが探偵だ。
「何の見返りも求めず、ただ自分が正しいと思う方を選ぶ」
効率だ、利益だ、損得だ・・・とは真逆の姿勢。
そして、事件は探偵を巻き込む。
謎の女性、ダメな資産家、強欲な政治家。
一瞬、友情めいた感情を抱いた、
友人の死の真相を探る。
傷だらけになりながら、
彼は粛々と行動していく・・・。

そう云えば、最近TVのドラマも、
警察物が増えたようだ。
TBS・WOWWOWの共同制作、
『MOZU』が面白い。
かなり前、原作を読んでいたので、
こんな、内容のエグイものを、
よく映像化したものだ。
公安警察を描いた面白い小説だ。
主人公を含めた登場人物が、
それぞれクールなのが良い。
映像制作も『ダブル・フェイス』の、
スタッフ、キャスト。
映画的な画面が、
雰囲気を盛り上げている。
毎週見ている、これからも楽しみだ。

今読んでいるのは、
『警官の条件』佐々木讓 著(新潮社文庫)。
前作『警官の血』の続編。
ようやく文庫化されたので嬉しい。
なんと700ページを超える大作、
読み応えがある。
作者の文章は重厚な味わい。
今やミステリ小説の今野敏と、
2大巨匠と言われている。
もう次の読む本は決まっている。
警察学校ものだ。
長岡弘樹 著『教場』。
去年の「このミステリーはスゴイ」で、
2位になった。
寡作な作家だが、文章が巧みとの事。
次々とミステリーは、手を変え品を変え出てくる。
嬉しい限りだ。
雨は依然として降っている。
やはり「雨の日はミステリーを読む」。
今日は、独り贅沢な時が流れているのだ。
