2013年11月20日
11月20日(水) このところ東京の天気は安定していて、今日は雲ひとつない晴天。眩しい秋の青空。絵にかいたような晩秋の風景が広がっていました。

先日のブログで
『広告批評』でおなじみの天野祐吉氏を偲んだ。
そして昨日、絶筆になった、
『成長から成熟へ』(集英社新書)を手に入れた。
広告と云う窓から、
商品を観る。
歪んだ超消費経済社会の根底には、
計画的廃品化と云うトリックが
昔から存在していた。
本当は長持ちするはずの製品が
予め耐用年数が設定されていて、
「修理するより買い換えた方がいいですよ。
修理代が高くつきますから…」と、
買い替えを勧められる。
それでなくては
大量生産・大量消費のサイクルが回らない。
CM・広告の功罪は大きい。

アメリカでは、
あの自動車の街、デトロイトが
破綻してしまった。
先日、NHKのドキュメンタリーで、
貧窮した街が
必死に立ち直ろうとしている映像が
ショッキングだった。
この本によると、
今の日本の
きっと行きつく先の一つだろうか。
大都市集中で
地方都市の駅前シャッタータタウン化。
光と影のバランスが
如何にも悪すぎる。
と冷ややかに述べている。
イケイケドンドン。
そんな過剰な超消費社会。

私が子供のころに
アメ車のバックシートに置いてあった
ティシュペーパーボックス。
ちり紙で鼻をかんでいたあの頃。
(その後、日本でも
ティシュペーパーを空中に投げて遊ぶ
天使のCMがあった)
50年前のアメリカは
猛然と消費経済に突入していた。
映画で
飲料水の大きなボトルを
運び込むシーンがあった。
当たり前の様に
使い捨ての紙コップで水を飲む。
その頃のアメリカの輝きは、
まさに経済大国のの絶頂を極めていた。
それが、
リーマンショック以来、
トップからボトムに。
アメリカ経済の光と影。
格差社会が浮き彫りになる。
ヨーロッパでも、
昔世界を制覇した国々の今は、
没落している。
歴史は繰り返す。

作られた“豊かさ”から
“成熟”に入らなくてはと
天野さんは提言する。
「いま買いたいものがないから、
デパートの福袋でも…」
そんな社会でもある!
「何であるアイデアル」
「トリスを飲んでハワイにいこう!」
「おいしい生活」…
色々なCMや広告コピーを観てきたが、
そんなに豊かなのか、日本…。
その商品が飽きられると
時代の気分とかデザインなどで
“差別化”“差異化”をする。
CMもそうだ。
個性重視教育の一方では、
横並び。
手を変え品を変え
過剰生産と消費を繰り返すが、
自国が限界点に差し掛かると
グローバル化という名の
発展途上国からの搾取。
いつも弱肉強食の論理。
………………………………………

あとがきに、
「日本は一等品とか二等品とかをあらそわず
粛々と“別品”として
モノを作り出せる力を秘めているのだから、
争わず文化力を大切にした、
悠々と成熟した社会になって欲しい…」と。
(こういう主旨じゃないかと私が勝手に解釈)
最後の一行はまさに絶筆。
「2013年、経験したこともない豪雨と炎暑の歪んだ夏」天野祐吉
これからこそ、
そのあり方を書いて欲しかった…。
本当に残念!
〜御冥福を祈ります。〜
