2013年06月05日
6月5日(水) なんだか例年の梅雨とは違った好天が続いて調子が狂うこの頃。先週は長い梅雨晴れに、連日外出して結構忙しかった。
梅時雨・梅の雨(江戸時代多く使われた季語)、
紫陽花(あじさい)、蝸牛(かたつむり)…。
梅雨時を彩る風景。
子供の頃、
紫陽花の勢いの良すぎる緑が
鬱陶しくってあまり好きではなかったが、
この頃では打って変わって
じっくりと見れようになり、
特に、
額紫陽花が好きになった。
蝸牛でも葉っぱに居ればなおよし。
そう云えば、
街角にも沢山出現している
“スマホ虫”だ。
自分だけのペースで、
ゆっくりと歩く。
本当にお邪魔虫だ…。
季語にもならないし。
先週、
堤幸彦監督の『くちづけ』を観にいった。
知的障害者のグループホームが舞台だ。
もともとは宅間孝行主宰の舞台の映画化。
ドラマはまるで舞台のように
ワンセットで撮っているように見える。
しかし
映像ならではのテクニックが
随所に、滑らかに駆使されている。
障害を持つ親は、
「この子を残しては死ねない」と
常に思っている…。
(ガンで余命のない父親が愛する娘を手にかてしまう)
苦渋の果ての選択。
この映画も残酷なテーマを、
説得力のある演出で
舞台とは違った完成度を見せている。
私の好きな堤作品『明日の記憶』の路線なのか、
重く、辛くなりそうな話を
旨く“寸止め”。
良い作品に巡り合った。
素直にうれしい気持ちで映画館出ると、
街はいつものように
何事もなく在った。
こちら東京は、
あちこちの美術館で
大きな企画展をやっている。
乃木坂の新国立美術館では、
フランス国立クリュニー中世美術館所蔵の
『貴婦人と一角獣展』。
19世紀フランスの
メリメやジョルジュ・サンドに再評価を受け、
一躍その価値を高めた
巨大なタピスリー(絵画織物)だ。
五感を一枚ずつに表し、描かれている。
貴婦人の周りには花や動物たちがいる。
丹念に気の遠くなるような作業。
そんなに色も褪せずに存在し、
奇跡のような作品だった。
また別室では、
4Kデジタルで6台のプロジェクターが
作品の解析をよりクリア―にし、
映し出して、親切だった。
招待券で一緒に見せて頂いた。
TOHOのY先生、
本当にありがとうございました。
その翌日。
新宿に用があって、
帰りに東郷青児美術館(損保ジャパン美術館)に行った。
『オディロン・ルドン展 ー夢の起源ー』。
19世紀末写実絵画の反動から
内面世界を重視した
一見怪奇な「黒の石版画」から、
より幻想的な色彩の画家に変貌していったルドンの、
めったにお目にかかれないリトグラフが数十点もあり。
(E・アラン・ポーを意識した作品など)
この時代の印象派とは、
違ったあり方だ。
館の窓からの景色に
コクーンビル(繭玉)が
不思議そうに佇んでいた。