2013年04月23日
4月23日(火) 暦ではもうすっかり春なのに、春嵐、冷たい雨が降ったりして、気温も乱高下、体調がおかしくなりそうな日々。今年の気候は少し変ですね。
こちら東京は
4月に入って雨模様〔嵐〕の日が多い。
風も台風並みに吹いて、
なんだか通常の季節感が
狂ってしまいそうだ。
その間を縫って散歩。
雨にも風にも耐えて
花々が咲き誇っている。
「花に嵐のたとえもある…」か!
とくに水辺の若草の香りは
我を忘れるほどだ。
先週の日曜日に強風の中、遠出をして、
千葉市の外れ、土気(とけ)にある
「ホキ美術館」に行った。
一度是非行って観たかったところだ。
千葉駅で外房線に乗って20分余り。
さっき造りましたというような新興住宅地が
駅前から広がっている。
ついこの間までは
農地だったようだ。
循環のバスに乗って5分。
宅地造成された雛壇に沿うように、
横長のトーチカ(塹壕)みたいな建物。
思ったより小さいな様子だが
中に入ると地下へ誘導される。
セットバック〔段々になっている〕様式。
廊下が緩くアール(曲がって)していて、
天井も気持ちのよい高さだ。
展示スペースや空間の佇まいが
設計者のセンスの良さを感じる。
この美術館のテーマは
「日本の現代写実絵画」。
『写実とは、
目の前にある対象を再現することでも
模倣することでもなく、
その対象のずっと奥にあるものと出会うこと』
『事物の本質を見つづけ、
存在を描くこと…』
写真的なリアリティではなく、
あくまでも絵画的な手法で
その時の現実を写しとる。
まさに存在の「実」の在り方を
描いているのだ。
いわゆるスーパーリアリズム
(写真のような再現絵画)
ではない。
普段、見慣れている事物は、
日常の言葉や約束事で
見る間もなく通り過ごしてしまい、
即座に記号化されて
「●○は、
いつも変わらないと錯覚する、
思い込んでいる」
穴のあくほど事物を見つめると
何時しか日常の言葉の垢にまみれた名前が消えて、
そのものの存在の不気味さが
見えてくるときがある。
優れた写実絵画は
いつもそのことを思い出させてくれる。
そしてなぜか不安な気持ちにさせる…。
帰りの外房線は
強風のためノロノロ運転。
車中で
心に残った絵画を反芻する時間は
たっぷりと有った。
学生時代に読んだJ・Pサルトルの著書、
『存在と無』を思い出していた。
今でもあの難解な哲学書に
膨大な時間をかけて、
それでも、まだ大半を読み残している。
今からでも遅くはないのだが…。