2013年11月
2013年11月27日
11月27日(水) 気候が安定してきたと思っていたら、もう木枯らしが吹いて冬の入り口に来ました。異常気象のせいか、こちらの紅葉はいまいちです。

最近、「篆書(てんしょ)」を
習い始めた。
文字の歴史は紀元前まで遡る。
漢字の起源は表意文字。
象形文字が起源のようだ。
まだまだその造形美を
たくさん残している「篆書」。
何よりその造形が面白く楽しい。
もともとは
権力者が神との交信、契約につかった。
吉凶を占う亀甲に彫られていたもの
「亀甲文字」。
青銅器などに鋳こまれた
「金文」。
そして
秦の時代に始皇帝が
国の文字として制定したのが
「篆書」といわれるものだ。
その後この文字は、
「隷書」
↓
「草書」
↓
「行書」
↓
「楷書」へと発展。
紀元前には
今の漢字の原型ができていた。

古代中国の歴史は古て深い。
文字学の第一人者、白川静氏は
中国の民俗学の研究を通して、
漢字の起源を「詩経」だとしている。
気の遠くなるような努力を積み重ね、
1950年代から
ガリ版刷りの研究誌を発行。
ささやかな部数と大きな情熱で、
大胆な解釈と論理的実証的な
アプローチしていく。
本家中国の研究者を
しのぐといわれるその成果。
まさにお見事といわれる業績を
残していった…。

「篆書」は
篆刻・実印など印鑑でおなじみで、
この同好の志は
数十万人ともいわれている人気の分野。
先日の“日展騒動”は記憶に新しいが、
この国の伝統的な習い事(茶道、華道…)は、
本家、家本、流派の長を
頂点としたピラミッド。
その道だけで生活できるのは
ほんの一握り。
弟子たちは
それでも生活していかなければならない。
“道”と名に着くものは
それが一つの形だ。
「道」という漢字は、
古代の部族が異界、異民族に侵攻する時、
異形の首を何かにぶら下げて
文字通り侵入(しんにゅう)したことを意味する。
壮絶な緊張感がはらんだ文字なのだ。
ちなみに私の名前の一字
「彦(ひこ・けん・げん)」は、
古代社会では男子の美称をさす。
出生した子の刺青が
美しい男子につけたという。
私の場合は名前負けのようだが。

その字源をたどるには
辞書が必要だ。
『字訓』
『字統』
『字通』
厚く重いので私は
『常用字解』〔いずれも白川静著/平凡社〕
にしている。
パラパラとこれを捲っていると、
思わぬ発見をしたりで
時間のたつのを忘れるほど。
実際、「篆書」を書いてみると
楽しいが、大変難しい。
縦画は真っすぐ、
横画は水平に均等な筆圧。
慣れるまでとても苦労しそうだ…。

話は変わりますが、
熊本開催予定のTOHO会の参加者が
すごく少なく事務局も大弱りとの連絡。
12月7日(土)、
まだこれから参加でも十分間に合います。
熊本地区のOBの方々、
ふるってご参加のほどよろしくお願いします。
きっといい出会いや
貴重な情報があると思います。

2013年11月20日
11月20日(水) このところ東京の天気は安定していて、今日は雲ひとつない晴天。眩しい秋の青空。絵にかいたような晩秋の風景が広がっていました。

先日のブログで
『広告批評』でおなじみの天野祐吉氏を偲んだ。
そして昨日、絶筆になった、
『成長から成熟へ』(集英社新書)を手に入れた。
広告と云う窓から、
商品を観る。
歪んだ超消費経済社会の根底には、
計画的廃品化と云うトリックが
昔から存在していた。
本当は長持ちするはずの製品が
予め耐用年数が設定されていて、
「修理するより買い換えた方がいいですよ。
修理代が高くつきますから…」と、
買い替えを勧められる。
それでなくては
大量生産・大量消費のサイクルが回らない。
CM・広告の功罪は大きい。

アメリカでは、
あの自動車の街、デトロイトが
破綻してしまった。
先日、NHKのドキュメンタリーで、
貧窮した街が
必死に立ち直ろうとしている映像が
ショッキングだった。
この本によると、
今の日本の
きっと行きつく先の一つだろうか。
大都市集中で
地方都市の駅前シャッタータタウン化。
光と影のバランスが
如何にも悪すぎる。
と冷ややかに述べている。
イケイケドンドン。
そんな過剰な超消費社会。

私が子供のころに
アメ車のバックシートに置いてあった
ティシュペーパーボックス。
ちり紙で鼻をかんでいたあの頃。
(その後、日本でも
ティシュペーパーを空中に投げて遊ぶ
天使のCMがあった)
50年前のアメリカは
猛然と消費経済に突入していた。
映画で
飲料水の大きなボトルを
運び込むシーンがあった。
当たり前の様に
使い捨ての紙コップで水を飲む。
その頃のアメリカの輝きは、
まさに経済大国のの絶頂を極めていた。
それが、
リーマンショック以来、
トップからボトムに。
アメリカ経済の光と影。
格差社会が浮き彫りになる。
ヨーロッパでも、
昔世界を制覇した国々の今は、
没落している。
歴史は繰り返す。

作られた“豊かさ”から
“成熟”に入らなくてはと
天野さんは提言する。
「いま買いたいものがないから、
デパートの福袋でも…」
そんな社会でもある!
「何であるアイデアル」
「トリスを飲んでハワイにいこう!」
「おいしい生活」…
色々なCMや広告コピーを観てきたが、
そんなに豊かなのか、日本…。
その商品が飽きられると
時代の気分とかデザインなどで
“差別化”“差異化”をする。
CMもそうだ。
個性重視教育の一方では、
横並び。
手を変え品を変え
過剰生産と消費を繰り返すが、
自国が限界点に差し掛かると
グローバル化という名の
発展途上国からの搾取。
いつも弱肉強食の論理。
………………………………………

あとがきに、
「日本は一等品とか二等品とかをあらそわず
粛々と“別品”として
モノを作り出せる力を秘めているのだから、
争わず文化力を大切にした、
悠々と成熟した社会になって欲しい…」と。
(こういう主旨じゃないかと私が勝手に解釈)
最後の一行はまさに絶筆。
「2013年、経験したこともない豪雨と炎暑の歪んだ夏」天野祐吉
これからこそ、
そのあり方を書いて欲しかった…。
本当に残念!
〜御冥福を祈ります。〜

2013年11月13日
11月13日(水) 急に冬の様な寒さになってきました。北国では早すぎる降雪。季節の歯車が狂ってきた? フィリピンでは巨大台風被害! 急劇な温暖化はどこまで進んでしまうのか…。

巷では、
また食品やメニュ―偽装のニュース。
大手のレストランやホテルが
平然とその事実を偽る。
そして、
記者会見では
マニュアルどおりに頭を下げる。
過去にも
何回となく繰り返していた映像。
「現場のことは知らない…」とか。
経費節減の名目。
そんなにまでして
儲けたいのか。
信用して食している
お客が馬鹿を見る。
“顧客主義”じゃなかったの?
言葉を使って、
言葉を裏切る。


『言霊(ことだま)』
古代社会では
安易に言葉を発すると
言葉に復讐される、
といわれるほどなのに。
自然界の中でも
沢山のことばを持つ生き物、
“人間”という存在は、
その使い手として
急速に進歩を遂げた。
「始めに言葉ありき」と云う。
言葉はあるものの記号であり、
象徴でもあるのだ。
私たちは
毎日無数の「ことば」たちに囲まれ、
それを使っている。


幼児期に
言葉を覚え発する。
「これなぁーに!?」
ものの指さしに、
親は丁寧に教える。
「ワンワン」から
「犬さん」に
「シバ犬」や「ブルドック」等など。
個別の言葉数を増していく。
同音異義語や外国語まで。
そして言葉の裏まで教わる。
後は、
それらの言葉を裏切る行為
「嘘」をつくこともある。

子供の頃、
カルピスの語源を教えてくれた大人。
「そもそもカルピスは、
南洋のカルプ諸島で造られると云う。
カルプと云う樹の白い樹液を集めて、
カルピスになると云う…。」
かなりの長い間、
その話を信じていた。
子供だましと云うけれど
その頃は
そのイメージを大切にしていた。

微妙な嘘。
まことしやかな嘘。
この頃は
“真っ赤な嘘”が
流行っているようだ。
エビでエビを釣る。
ではなく、
エビを創る?
末期資本主義の創る
心貧しき嘘…。
この頃の気候は激変しています。
OBの皆さん、
寒さに向かって
お互いに身体に気をつけましょうね。
